Ⅰ.細菌による食中毒
- 夏は腸管出血性大腸菌O157(3類)やサルモネラなどの細菌による食中毒が増加する季節です。
- 食品を室温に放置せずに冷蔵庫などの低温で保存し、調理の際にしっかり加熱することが大切です。
Ⅱ.買い物と保存の工夫
- 肉や魚、野菜などの生鮮食品は買い物かごの中で温度が上がるので、最後に購入しましょう。
- 持ち帰る際に保冷剤や氷を使うと、細菌の増殖を防げます。
- 購入後の生鮮食品は一つずつポリ袋にわけましょう。
- 「多くの細菌は10℃以下で繁殖が停止する」ことを頭に入れておきましょう。したがって、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下にします。
- 冷蔵庫内のスペースの3割以上は空けておきましょう。
- テイクアウトやデリバリーの食品はすぐに食べるようにし、生の食材は避けましょう。
Ⅲ.調理のポイント
手指衛生を含めて、清潔を保ち、「食品を75℃以上で1分間以上加熱すること」を心掛けましょう。
肉
牛肉のレバーは中心部までしっかりと火を通しましょう。「鶏肉の半数以上にカンピロバクターが付着している」という報告があるので、鶏肉はしっかりと加熱しましょう。
魚
アニサキスに注意します。新鮮な魚をおろす場合、内臓はすべて取り除きましょう。
卵
以前はサルモネラの食中毒が見られましたが、今は対策が取られているので、生で食べても特に問題はありません。
Ⅳ.残り物に注意
- リステリアは冷蔵庫の中(4℃)でも増殖する細菌です。したがって、加熱が有効です。
- リステリア症は髄膜炎・脳炎や敗血症が主要病変です。アミノペニシリン(アンピシリン)が第一 選択薬になります。
- 開封して5日後の「パテなどの食肉の加工品」「スモークサーモン」「ソフトタイプのナチュラルチ ーズ」は特にリステリアの繁殖に気をつけましょう。
Ⅴ.まとめ
- 夏はO157やサルモネラなどの細菌による食中毒が増加する季節です。
- 多くの細菌は10℃以下で繁殖を停止します。
- 食品を75℃以上で1分間以上加熱すると安全です。
- 生鮮食品(肉、魚、卵など)の調理はしっかりと加熱しましょう。
- 残り物では、リステリアの繁殖に気をつけましょう。
(参考)五十君 靜信(いぎみ しずのぶ)「食中毒 その調理・保存はNG」、『きょうの健康』7月号、2021年
徳島健生病院 内科医師 古川民夫