眼科の治療薬は主に点眼薬と眼軟膏です。きちんと点眼することが基本です。とくに継続が必要な緑内障点眼薬などでは習慣としてほしいものです。が、実はこれがなかなか難しい。
その理由はいくつかあります。飲み薬は、包装されているものを指示された分だけ飲むということで、わかりやすく、残量も一目瞭然です。が、点眼薬は目にぽとっと1滴いれましょうといっても、怖い、命中しない、こぼれてしまう、はいったのかどうかわからないという声も聞きます。1回1滴、1日〇回です、点眼びんの内容量からすると△日間もつので、次回の受診日までに◇本処方しましょうという話になりますが、なかなかちょうどにはいきません。製薬会社により、点眼びんの形状(押しやすさ)、硬さなどにより、押し具合で1滴の量も微妙に異なるからです。入れ忘れや入れすぎもあるかもしれません。点眼回数も1日1回のものから、4~5回のときもあり、これに左右別々となるとより難しくなりますね。
受診時の、「ばい菌をやっつける抗菌点眼薬」、「かゆみや赤みを抑える消炎点眼薬」との説明はお薬についている説明書と突き合わせ、どんな効果の治療薬かを再度確認しましょう。最近はジェネリック点眼薬もふえたので、名前がおぼえにくいですが、びんや蓋の形や色だけでなく、名前も記憶にとどめてほしいところです。
めやにが多い、かゆくて仕方がないなどの症状の場合は、治療効果が本人にもよくわかり、点眼治療を終了する病気もあります。が、緑内障のような場合は、症状や治療効果が目にみえにくいため、忘れがちになる方もいます。最近は種類も増え、合剤という2種類の成分がはいったものもあり、点眼の選択肢がふえました。点眼本数がふえるほど、きちんといれられていないという統計もあります。
治療効果向上のためには、指示のとおりに従うコンプライアンスのみではなく、患者さんが治療の主体となって納得して取り組むアドヒアランスが大切とされています。
再度、なぜ治療が必要なのかに立ち返りましょう。きちんと点眼するために、うまくできないこと、わからないことなどありましたら、ご相談ください。
徳島健生病院 眼科 科長 西内貴子